遅れて来た
蔦吉ファンサイト

時代劇、御家人斬九郎を観ましょう!

第5シリーズ 第10話 「最後の死闘」

あらすじ:

幕末、世情が不安定になりつつある中、芸者の蔦吉(若村麻由美)は幕府がアメリカの使節を接待する席に出ますが、突然、攘夷派かと思われる酔った侍3人が踏み込んできて、お座敷は大混乱に陥ります。

数日後、斬九郎(渡辺謙)の兄で、下川原藩の他家に養子に行った西垣与市兵衛(三浦浩一)が切腹しました。藩の公金を三百両着服したという理由です。与市兵衛は正義感が強く、暮らしも質素で、斬九郎は兄が公金を着服したとは信じられませんでした。斬九郎は、佐次(塩見三省)に下川原藩の内情を探らせました。与市兵衛の死は、開国派の幕府や彦根藩と、水戸藩ら尊皇・攘夷派との争いに関係があることがわかり・・・。

今週の蔦吉:

今回も美しく魅力的な女性でした。これが最後というのは寂しい限りです。

《蔦吉ファン》の愚痴:

エピローグを除く、物語本体(本編)について:  架空の物語についてこんな事を言うのは変ですが、蔦吉が余りに哀れで、「“時代劇御家人斬九郎”を作ってきた人たちは散々蔦吉の心をもてあそんできて、最後にこの仕打ちかよ」、とか、「蔦吉にあんな顔をさせて欲しくなかったなぁ」とか思ってしまいました(《蔦吉ファン》としては感情を抑えに抑えた表現ですっ)。

但し、これはあくまでも《蔦吉ファン》個人の感想でして、ネットを見たりすると、一つの時代劇として、かなり高い評価をしている向きもあります。《蔦吉ファン》としては何故だか分かりません。

てな事で、このページを作った当初、ページ最下部に遠慮がちにゴタクを書きました。が、遠慮しすぎて訳が分からないものになっていました。今回(2019年10月)、批判的なことも僅かながら書きつつ、ネタバレ含め書き改めて、一つのページ「御家人斬九郎最終回に関するメモ」として設定しました。この回に関する批判的な内容を読んでもプッツンしない自信がある方だけ読んで下さい。

その後、この愚痴をぶっ飛ばす解釈がが浮かんできました。それを短くまとめて、「《蔦吉ファン》による残念でない新解釈 = 斬九郎は死んでない」というタイトルで最終回に関するメモの最下部に追加しました(2021年7月16日)。

メリケンの座敷で踊る

幕府の役人がメリケンの使節を接待しています。蔦吉が二人の芸者と三人で賑やかな踊りを踊っていると、酔った侍、三人が闖入(ちんにゅう)してきます。踊っている時の蔦吉は本当に艶やか(あでやか)なんですが...。

艶やかな芸者蔦吉(若村麻由美)最後の踊りその1
艶やかな芸者蔦吉(若村麻由美)最後の踊りその2
艶やかな芸者蔦吉(若村麻由美)最後の踊りその3
艶やかな芸者蔦吉(若村麻由美)最後の踊りその4
拳銃の火炎があらぬ方向に

せっかくの踊りを邪魔された蔦吉は押し掛けてきた田舎侍に啖呵を切りました。結果、お座敷は大混乱に陥りました。蔦吉は、幕府の侍がメリケンから貰った拳銃を取って天井に向け、一発撃ちます。

蔦吉(若村麻由美)が撃った拳銃から火炎が斬九郎の方に

蔦吉が拳銃を撃つと、全員が伏せ、騒ぎは収まりました。しかし、蔦吉は気を失い、斬九郎の腕の中に倒れ込みます。

余談ですが、ここで使われた小道具の拳銃は不良品のようで、斬九郎の頭の方向に火炎が飛んでいきました(この写真)。

鼻をつまんで耳に圧力をかける蔦吉(若村麻由美)

翌日になっても銃声による耳鳴りが消えず、鼻をつまんで耳に圧力をかけてみる蔦吉です。

物語があらぬ方向に

夕べのメリケンが、蔦吉に会いたいので船を仕立てて貰いたいと舟久に言ってきました。通詞が怪我をしたので代役が必要となり、異国の言葉に通じている麻佐女はどうだろうかとなりました。斬九郎は麻佐女が話せるのは蘭語だと言いますが、女性二人は「(蘭語も米語も)同じだと思いますけどねぇ」だそうです。

自分のお座敷に麻佐女を呼び立てるのは憚られるので、お座敷を断ろうかという蔦吉に、斬九郎は、別に良いんじゃねぇのかと言いました。

帰ろうとするキャプテンを見る麻佐女と蔦吉(若村麻由美)

嫌がる麻佐女を異国の食べ物で釣って、通詞をさせる事に成功しましたが、米語と蘭語ですから全く通じません。

船が戻ってきて、舟久の座敷に移動しましたが、船酔いしたメリケンのキャプテンが帰ると言います。蔦吉は、麻佐女に取り成しを頼もうとしたとき、つい「母上様」なんて言っちゃって、気まずそうにうつむきました。その後、勘違いから奇跡的に話が通じました。蔦吉の踊り(深川)も少々あります。

この後、与市兵衛が切腹したとの連絡が入り、物語はあらぬ方向に向かっていきます。

まだ事態を把握していない

与市兵衛が300両もの金を着服したと聞き、全く信じられない斬九郎が佐次に下川原藩の内偵を頼み、自分も探り始めました。すると、或る夜斬九郎が覆面の侍数人に襲われます。自分が舟久や東八に出入りすると迷惑が掛かると考えた斬九郎は、暫く舟久には寄りつかないと言って出て行きました。

余裕の表情で三味線をつま弾く蔦吉(若村麻由美)

斬九郎が出て行った後、おえんは「直ぐ帰ってくるよ」と言いました。蔦吉は「あたしゃ別に構いませんよ」と言って、三味線をつま弾きます。まだ状況をちゃんと把握していなくて余裕があるのでしょう。

ここから急速に落ちてゆく

与市兵衛の事件の真相にたどり着いた斬九郎は、舟久に麻佐女と与市兵衛の妻子、西尾伝三郎を集め、自分の覚悟を伝えました。

その後、蔦吉が麻佐女にお茶のお代わりを持って来ます。この場面、何処をとっても、本当に美しい蔦吉がいます。動画で見ないと勿体ない。画も綺麗ですし、背景の音もよく考えられていると思います。

麻佐女に話しかけられる美しい蔦吉(若村麻由美)

蔦吉が麻佐女にお茶のおかわりを渡して、帰ろうとすると、麻佐女が話しかけます。「斬九郎という男、母の目から見ても困った男じゃ。あれほど頼りになって、あれほど当てにならぬ男もおらぬ。」

蔦吉は「そこがまたお可愛らしいのではございませんか」と言いながら腰を落として姿勢を低くしました。

麻佐女に斬九郎を止めてと言われて戸惑う美しい蔦吉(若村麻由美)

すると麻佐女が「九郎を止めて下され」と言います。「私が?」 「このままでは突っ走っていくだけ。」 「あたしにはそんな。」 「そなたの言う事なら聞いてくれそうな気が。」 「どうして。」 「なぜだか...。」

外の音がかすかに聞こえる部屋で沈黙の蔦吉

静かで、流水の音と、小鳥の鳴き声、そして物売りの「きせーるー、葉たばこー」という声が、かすかに聞こえます。画も舞台のような雰囲気で美しい。

麻佐女は茶をすすり、「美味しい」と一言。そして、悩ましげな表情で黙っていた蔦吉は斬九郎が入ってきたのに気づき、無言のまま出て行こうとします。

斬九郎の決断を知り、何事か考えるような美しい蔦吉(若村麻由美)

斬九郎は下川原藩家老内藤兼友からの書状を持ってきました。斬九郎と話がしたいので明日酉の刻(今の午後6時頃)天正寺まで来いとのこと。麻佐女は「行くのか」と聞きます。斬九郎は微笑みながら頷き、厳しい表情に変わりました。横で聞いていた蔦吉は自分が止めなければと思ったんでしょうか。そうなら、どうやって止めるんでしょうか。

止められるかな

斬九郎が天正寺に向かって歩いていると雪が降ってきました。途中、辰巳芸者のトレードマークの羽織も着ず、お座敷用の衣装だけの蔦吉がこちらに背を向けて石橋の上に立っていました。

斬九郎に傘を貸す、だから無事に帰って返してと言う蔦吉

斬九郎が蔦吉に気付き、石橋直前で一瞬ためらった後に通り過ぎようとすると、蔦吉が振り返り、「傘・・・・・・、貸すんですよ、傘・・・・・・。返しておくんなさいね。」

梅が咲いたらそん時ゃあ・・・・・・」と言った斬九郎を見つめた後、目を閉じる蔦吉(若村麻由美)

「きれいどころが雪で濡れちまったら座敷は勤まらないぜ・・・・・・。梅が、梅が咲いたらそん時ゃあ・・・・・・」と言った斬九郎を見つめた後、目を閉じます。

お互いの気持ちは通じたんでしょうか。

このページ設定時にここに書いた「エピローグについて」と「バックグラウンドミュージックについて」は、「御家人斬九郎最終回に関するメモ」ページに移動しました。批判的な内容も追加しましたし、完全ネタバレもありますので、ご注意下さい。

 

第5シリーズ