遅れて来た
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時代劇、御家人斬九郎を観ましょう!

第5シリーズ 第10話 「最後の死闘」

あらすじ:

幕末、世情が不安定になりつつある中、芸者の蔦吉(若村麻由美)は幕府がアメリカの使節を接待する席に出ますが、突然、攘夷派かと思われる酔った侍3人が踏み込んできて、大混乱に陥ります。

数日後、斬九郎(渡辺謙)の兄で、下川原藩の他家に養子に行った西垣与市兵衛(三浦浩一)が切腹しました。藩の公金を三百両着服したという理由です。与市兵衛は正義感が強く、暮らしも質素で、斬九郎は兄が公金を着服したとは信じられませんでした。斬九郎は、佐次(塩見三省)に下川原藩の内情を探らせました。与市兵衛の死は、開国派の幕府や彦根藩と、水戸藩ら尊皇・攘夷派との争いに関係があることがわかり・・・。

今週の蔦吉:

今回も美しく魅力的な女性でした。これが最後というのは寂しい限りです。

《蔦吉ファン》の愚痴:

エピローグを除く、物語本体について: 架空の物語についてこんな事を言うのは変ですが、「“時代劇御家人斬九郎”を作ってきた人たちは散々蔦吉の心をもてあそんできて、最後にこの仕打ちかよ」、とか、「蔦吉にあんな顔をさせて欲しくなかったなぁ」とか思ってしまいました(《蔦吉ファン》としては感情を抑えに抑えた表現ですっ)。

但し、これはあくまでも《蔦吉ファン》個人の感想でして、ネットを見たりすると、一つの時代劇として、かなり高い評価をしている向きもあります。《蔦吉ファン》としては何故だか分かりません。

メリケンの座敷で踊る

幕府の役人がメリケンの使節を接待しています。蔦吉が二人の芸者と三人で賑やかな踊りを踊っていると、酔った侍、三人が闖入(ちんにゅう)してきます。踊っている時の蔦吉は本当に艶やか(あでやか)なんですが...。

艶やかな芸者蔦吉(若村麻由美)最後の踊りその1
艶やかな芸者蔦吉(若村麻由美)最後の踊りその2
艶やかな芸者蔦吉(若村麻由美)最後の踊りその3
艶やかな芸者蔦吉(若村麻由美)最後の踊りその4
拳銃の火炎があらぬ方向に

せっかくの踊りを邪魔された蔦吉は押し掛けてきた田舎侍に啖呵を切りました。結果、お座敷は大混乱に陥りました。蔦吉は、幕府の侍がメリケンから貰った拳銃を取って天井に向け、一発撃ちます。

蔦吉(若村麻由美)が撃った拳銃から火炎が斬九郎の方に

蔦吉が拳銃を撃つと、全員が伏せ、騒ぎは収まりました。しかし、蔦吉は気を失い、斬九郎の腕の中に倒れ込みます。

余談ですが、ここで使われた小道具の拳銃は不良品のようで、斬九郎の頭の方向に火炎が飛んでいきました(この写真)。

鼻をつまんで耳に圧力をかける蔦吉(若村麻由美)

翌日になっても銃声による耳鳴りが消えず、鼻をつまんで耳に圧力をかけてみる蔦吉です。

物語があらぬ方向に

夕べのメリケンが、蔦吉に会いたいので船を仕立てて貰いたいと舟久に言ってきました。通詞が怪我をしたので代役が必要となり、異国の言葉に通じている麻佐女はどうだろうかとなりました。斬九郎は麻佐女が話せるのは蘭語だと言いますが、女性二人は「(蘭語も米語も)同じだと思いますけどねぇ」だそうです。

自分のお座敷に麻佐女を呼び立てるのは憚られるので、お座敷を断ろうかという蔦吉に、斬九郎は、別に良いんじゃねぇのかと言いました。

帰ろうとするキャプテンを見る麻佐女と蔦吉(若村麻由美)

嫌がる麻佐女を異国の食べ物で釣って、通詞をさせる事に成功しましたが、米語と蘭語ですから全く通じません。

船が戻ってきて、舟久の座敷に移動しましたが、船酔いしたメリケンのキャプテンが帰ると言います。蔦吉は、麻佐女に取り成しを頼もうとしたとき、つい「母上様」なんて言っちゃって、気まずそうにうつむきました。その後、勘違いから奇跡的に話が通じました。蔦吉の踊り(深川)も少々あります。

この後、与市兵衛が切腹したとの連絡が入り、物語はあらぬ方向に向かっていきます。

まだ事態を把握していない

与市兵衛が300両もの金を着服したと聞き、全く信じられない斬九郎が佐次に下川原藩の内偵を頼み、自分も探り始めました。すると、或る夜斬九郎が覆面の侍数人に襲われます。自分が舟久や東八に出入りすると迷惑が掛かると考えた斬九郎は、暫く舟久には寄りつかないと言って出て行きました。

余裕の表情で三味線をつま弾く蔦吉(若村麻由美)

斬九郎が出て行った後、おえんは「直ぐ帰ってくるよ」と言いました。蔦吉は「あたしゃ別に構いませんよ」と言って、三味線をつま弾きます。まだ状況をちゃんと把握していなくて余裕があるのでしょう。

ここから急速に落ちてゆく

与市兵衛の事件の真相にたどり着いた斬九郎は、舟久に麻佐女と与市兵衛の妻子、西尾伝三郎を集め、自分の覚悟を伝えました。

その後、蔦吉が麻佐女にお茶のお代わりを持って来ます。この場面、何処をとっても、本当に美しい蔦吉がいます。動画で見ないと勿体ない。画も綺麗ですし、背景の音もよく考えられていると思います。

麻佐女に話しかけられる美しい蔦吉(若村麻由美)

蔦吉が麻佐女にお茶のおかわりを渡して、帰ろうとすると、麻佐女が話しかけます。「斬九郎という男、母の目から見ても困った男じゃ。あれほど頼りになって、あれほど当てにならぬ男もおらぬ。」

蔦吉は「そこがまたお可愛らしいのではございませんか」と言いながら腰を落として姿勢を低くしました。

麻佐女に斬九郎を止めてと言われて戸惑う美しい蔦吉(若村麻由美)

すると麻佐女が「九郎を止めて下され」と言います。「私が?」 「このままでは突っ走っていくだけ。」 「あたしにはそんな。」 「そなたの言う事なら聞いてくれそうな気が。」 「どうして。」 「なぜだか...。」

外の音がかすかに聞こえる部屋で沈黙の蔦吉

静かで、流水の音と、小鳥の鳴き声、そして物売りの「きせーるー、葉たばこー」という声が、かすかに聞こえます。画も舞台のような雰囲気で美しい。

麻佐女は茶をすすり、「美味しい」と一言。そして、悩ましげな表情で黙っていた蔦吉は斬九郎が入ってきたのに気づき、無言のまま出て行こうとします。

斬九郎の決断を知り、何事か考えるような美しい蔦吉(若村麻由美)

斬九郎は下川原藩家老内藤兼友からの書状を持ってきました。斬九郎と話がしたいので明日酉の刻(今の午後6時頃)天正寺まで来いとのこと。麻佐女は「行くのか」と聞きます。斬九郎は微笑みながら頷き、厳しい表情に変わりました。横で聞いていた蔦吉は自分が止めなければと思ったんでしょうか。そうなら、どうやって止めるんでしょうか。

止められるかな

斬九郎が天正寺に向かって歩いていると雪が降ってきました。途中、辰巳芸者のトレードマークの羽織も着ず、お座敷用の衣装だけの蔦吉がこちらに背を向けて石橋の上に立っていました。

斬九郎に傘を貸す、だから無事に帰って返してと言う蔦吉

斬九郎が蔦吉に気付き、石橋直前で一瞬ためらった後に通り過ぎようとすると、蔦吉が振り返り、「傘・・・・・・、貸すんですよ、傘・・・・・・。返しておくんなさいね。」

梅が咲いたらそん時ゃあ・・・・・・」と言った斬九郎を見つめた後、目を閉じる蔦吉(若村麻由美)

「きれいどころが雪で濡れちまったら座敷は勤まらないぜ・・・・・・。梅が、梅が咲いたらそん時ゃあ・・・・・・」と言った斬九郎を見つめた後、目を閉じます。

お互いの気持ちは通じたんでしょうか。

 

最後にこの最終回に関する補足(と言うより、ごたく)を書いておきます。但し、ネタバレを避けるため、書きたい事のほんの一部に過ぎず、中途半端になってしまいました。なにぶん素人なので、的外れなところもあろうかと思います。

1. エピローグについて

《蔦吉ファン》の印象では、物語本体は御家人斬九郎シリーズと趣が異なる作りになっています。それで、物語の最後に若干無理筋のエピローグを追加して、ギリギリ御家人斬九郎シリーズに引きずり戻したのではないかてな感じがしました。色々調べたところ、企画担当の能村庸一氏の話が見つかりました(完全ネタバレなので注意して下さい http://www.historica-kyoto.com/2015/historica_report/2644/)。それによれば、実際にもそのような意図があった様で、当たらずといえども遠からずといったところでした。参考までにもう一つ。渡辺謙さんが最終回の監督をする事になった経緯は能村庸一・春日太一共著の「時代劇の作り方 プロデューサー能村庸一の場合」の128ページに書かれています。

2. バックグラウンドミュージックについて

御家人斬九郎の音楽を担当してきた佐藤勝氏の作でない音楽が二つ使われています。BSフジでの再放送では佐藤氏(多分)の曲に変わっていますが、時代劇チャンネルでは(多分初回放送と同じく)下記の二つが流れてきます。

(1) 物語の後半、山場に向かうときに、個人的にはエニグマの曲のように感じられるものが流れました。One Little CreatureのYou've Gotta Learnという曲でした。特にコメントはありません。

(2) エピローグの前の最後の最後に、クイーンのThe show must go onが流れました。《蔦吉ファン》としては、歌詞を無視してインストルメンタル的に聞くと、場面(若村麻由美さんの演技)に大変良く合っているように感じました(歌自体も素晴らしい)。歌詞の内容は解釈が難しいんですが、一言で言うと「困難に直面しているけど負けないぞ」といった趣旨かと思います。余命幾ばくも無い病状で、残された力を振り絞って録音したボーカルのフレディー・マーキュリーや、命に関わる病を経験した渡辺謙さんにはぴったりだと思いますが、仇討ちするために命をかける斬九郎に合っているのかは難しいところです。

3. それはそれとして

「時代劇御家人斬九郎」を、というより、蔦吉を見始めて、ドラマの見方が変わったかも知れません。いままでは表面だけさらっと見ていましたが、もう少し深く見られるようになったような...なってないような。「御家人斬九郎」も最後の一話を除き、また、何度か見ることになると思います。感謝です。

第5シリーズ