遅れて来た
蔦吉ファンサイト

時代劇、御家人斬九郎を観ましょう!

第2シリーズ 第1話 「初春火の用心」

《蔦吉ファン》の今週の一言:

男心も分からん。(女心は第1シリーズの第6話参照)

あらすじ:

第1シリーズから2年ぶりに始まった第2シリーズの第1話です。正月、江戸の本所・深川一帯では火付けが横行しており、夜回りが斬られる事件も何件か発生し、既に3人が死んでいました。斬九郎(渡辺謙)もある夜、火付けの現場に遭遇し、頬に傷のある男が逃げて行くのを目撃しました。

そのような事情から夜回りの引き受け手がいなくなってしまい、斬九郎は入江町の肝煎(きもいり=町の名主)と、自分の友人でもある北町奉行所与力・西尾伝三郎(益岡徹)に頼まれて、嫌々ながら3日で1両の夜回りを引き受けました。実は、火付けの裏には大きな悪事が隠れていました。

今週の蔦吉:

その悪事に絡んで、蔦吉(若村麻由美)にとっては耐えがたい悲劇が発生します。気が紛れるからと、けなげに座敷に出続けますが...。

ん?

「正月くらいは親のそばに居てやらないとさ」と、養い親の家に来ている蔦吉です。義父の辰五郎(小林昭二)と、「そろそろ楽させてあげようかなと思ってさ」・・・「馬鹿野郎、おめぇをちゃんと嫁に出すまでは隠居なんかしてられるかい」・・・「それじゃ当分楽は出来ないね」みたいな会話をしています。

養父辰五郎の話が一瞬気になった蔦吉(若村麻由美)。

養父辰五郎が音吉(阿部寛)に去年の俵屋の火事について何か言いかけて口ごもりました。辰五郎は「確かじゃねぇし・・・」と独り言を言いました。この会話を横で聞いていてチョット気になった蔦吉です。これが蔦吉にとっても耐えがたい悲劇の始まりだということにまだ気づいていません。

 
踊り
日舞「重ね扇」を踊る蔦吉(若村麻由美)。美しい。

この場面、蔦吉の瞬き一つとっても美しい。 艶やかです。これまでも、素人目にも踊りがスムーズで美しくて、良いなぁと思っていました。若村麻由美さんは踊りの名取りだそうで、当然のことでした。現在は師範だそうです。

踊りは「重ね扇」で、「重ね扇はよい辻占(つじうら)よ、二人しっぽり抱き柏、菊の花ならいつまでも、活けて眺めている心、色も香もある梅の花」の内、「二人」から「いつまでも」の間を見ることが出来ます。

座敷が終わって養い親の家に帰ると、まだ辰五郎が帰っておらず、義母(宮田圭子)は大変心配していました。どこかで飲んでいるのではないか、と全く心配していない蔦吉ですが...。

悲劇の後

雪の夜更け、座敷からの帰り、蔦吉は偶然斬九郎に会います。たった2分半くらいですが、蔦吉のファンに限らず、絶対に見逃せない場面です。

なお、下の写真4枚ではこの場面の流れ全体を表すことは無理ですし、直前の場面とのつながりもあるため、実際に見ると違った印象を受ける可能性があります。 テレビで見て下さい(チャンスはなかなか無いかと思いますが)。

悲劇の後も健気に座敷に出続ける蔦吉が雪の夜に偶然斬九郎に出逢う

偶然斬九郎に出逢った蔦吉。「座敷出ているのか」と心配する斬九郎に、「きれいなおべべ着て踊ってた方が気が紛れまして...」。 斬九郎から「お前さんに密かに思いを寄せているやつがいる」と言われ、一笑に付します。斬九郎は「笑ったら一安心だ」。

自分に思いを寄せるやつとは誰かと訊く蔦吉に、「さてね」と答える斬九郎

でも気になってそれは誰かと訊くと、「さてね」。(蔦吉の深い抜き襟のうなじから背中が寒そうです。心も寒そう。)

斬九郎にはぐらかされて気を落とす蔦吉(若村麻由美)

期待した答えがなかったという表情でしょうか。

さみしく斬九郎の背中を見送る蔦吉(若村麻由美)

斬九郎の背中を見送る表情にさみしさか孤独感みたいなものが...。そして、少しうなだれます。

斬九郎はせめて肩ぐらい抱いてやっても良いのではないかと思ってしまう《蔦吉ファン》であります。蔦吉に思いを寄せている奴に気を遣っているんでしょうか。でも、「さてね」はないよなぁ。雪の寒さの中に一人で置いていくのはないよなぁ。まあ、ドラマとしてはこの方が良いのかも知れないと思ったり、《蔦吉ファン》としては、煮え切らないんですけどねぇ...。斬九郎の「男心」も分からないし...。

救出

でも、悲しんでいるだけでは蔦吉ではない。斬九郎に頼まれ、意を決して、人質になった斬九郎の母、麻佐女の救出に一人で向かいます。

初対面の斬九郎の母、麻佐女に誰かと問われ、答えをはぐらかす蔦吉(若村麻由美)

斬九郎の母、麻佐女を救い出しに行き、初対面。この後、「其方は」。「まあ、あの、ちょっとした出しゃばりです。」

斬九郎に「遅いっ」と言う蔦吉(若村麻由美)と麻佐女

悪人たちに見つかり立ち回りに...。やっと斬九郎が来ますが、麻佐女に遅いと怒られます。蔦吉:「遅いっ」。麻佐女ももう一回:「遅いっ」。

この後の立ち回りで斬九郎の剣が蔦吉の頭に当たりそうに見えたので、《蔦吉ファン》は一瞬ひやっとしました。蔦吉の表情が変わらなかったので、想定内なんでしょうが、女優さんも大変だなぁ。

激怒

蔦吉がこれほどの怒りを表したのは、7年にわたる5シリーズの中でこれだけかもしれません。

黒幕の告白を聞いている蔦吉(若村麻由美)

厳しい顔で、黒幕の話を聞いている蔦吉。

黒幕に対し、「何が武士だ」と激怒する蔦吉(若村麻由美)

「せめて最後は武士らしく(死にたい)」という黒幕に対し、「何が武士だ」と激怒した蔦吉。結局斬九郎に押しとどめられます。

立ち直り

でも、やっぱり蔦吉が泣いたり怒ったりしたまま終わってはいけないのだ!!

麻佐女が自分について何か言ったかと斬九郎に訊く蔦吉(若村麻由美)

斬九郎と歩きながら、「お袋様は何かおっしゃいました、あたしのこと」。「いや別に。」「なら良いんですけど。」「何だい、何を気にしてんだ。」「別に。」「あ、そう。」

気にならないわけは無いと思いますがねぇ。

ちなみに、これより前に斬九郎は麻佐女に蔦吉との関係を聞かれました。何と答えたかはテレビで見てください(ここに書いてしまうと見たときの面白さが半減するので)。

元気を取り戻してほほえむ蔦吉(若村麻由美)

「男二人して何の内緒話ですか。」 《蔦吉ファン》としては、悲しいことがあっても、最後は笑って欲しいのだ。

 

第2シリーズ