第3シリーズ 第1話 「男二人」
あらすじ:
ある日、気が滅入っている斬九郎(渡辺謙)が深川の屋台で飲んでいると、やくざと問屋場(とんやば、といやば)の人足達との喧嘩に巻き込まれました。仲裁に入ったのが伝馬町の問屋の頭(問屋場の責任者)、政五郎(北大路欣也)でした。その器の大きさに圧倒されて恥じたのか、斬九郎も機嫌を直しました。
参考: 問屋場とは、江戸時代、街道の宿駅で人馬の継立など種々の事務をを行った所。国交省の横浜国道事務所のサイトにも解説があります。
松平家とは遠縁にあたる大身の旗本河野家から、お抱えの相撲取り花嵐(嵐)の護衛をして欲しいという依頼が麻佐女のところへ来ました。礼金は20両。近々に徳川御三家のひとつ尾張家で花相撲が催され、花嵐は河野家と対立する旗本土屋家が抱える力士と対戦する予定です。一方、土屋の嫡男、数馬(沖田浩之)は素行が悪く、旗本の不良子弟を集めた「黒手組」と称する一団を率いて、喧嘩や恐喝、町娘への暴行といった悪行を働いていました。数馬は政五郎の番頭の娘に目をつけたり、政五郎や斬九郎を恨んだりで、波乱を巻き起こしていきます。
今週の蔦吉:
蔦吉は政五郎の気風の良さや器の大きさに惚れ込んじゃったみたいです...。
憧憬

政五郎の器の大きさに完敗した斬九郎に、「なんともいい男でしたねぇ。あんな男も世の中にいるんですね」と言って振り返り、政五郎を見る蔦吉。斬九郎は、ちょっと気に入らない様な表情をして、そそくさと立ち去りました。

後に政五郎に再会したとき、政五郎を見る蔦吉の目は眩しそうでした。
謝意
数馬の仲間が酔って芸者に絡んだため、蔦吉と斬九郎が止めに入りました。丸腰の斬九郎を刀を持った数馬が襲ってきたとき、たまたま近くの部屋で飲んでいた政五郎が大きな杯を投げて助けました。その礼にと蔦吉が一差し踊ります。蔦吉の踊りを初めて見た斬九郎は正に惚れた女を見る目つきで、政五郎に易々と気付かれましたが、斬九郎は否定します。
この事件で政五郎は数馬の恨みを買います。

踊りの始め。こういう写真も面白いかと...。唇の形が綺麗ですね(≪蔦吉ファン≫はフェティシストではありません、念のため)。

踊りは端唄の「深川」。歌詞は「猪牙でいくのは 深川通い 上る桟橋の あれわいさのさ いそいそと 客の心は 上の空 飛んでいきたい あれわいさのさ 主のそば」。
最初の「猪牙でいくのは」のところの船の櫓をこぐような振りをはじめ、ど素人の《蔦吉ファン》にもわかりやすいと思える踊りでした(一部しか見られませんが...)。
注: ここで「猪牙」は「ちょき」とよむ。速い小舟。よく船宿・「舟久」の前の桟橋に泊まっている。その桟橋に掲げてある行灯にも「にたり」、「やねふね」、「ちゃふね」とともに「ちょき」が書かれている。

この踊りを見ている斬九郎の表情は惚れているのが見え見えで、政五郎が、「付き合っているのか」みたいな手振りをすると慌てて首を振る斬九郎でありました。

こういう姿勢になる踊りがあるとは知りませんでした。
憐情

土屋数馬に暴行されたお弓を助ける蔦吉。この写真では、お弓は蔦吉の陰で、髪や白い着物の一部しか見えません。

お弓に同情して、涙ぐむ蔦吉。
一蹴

問屋場を辞め、江戸を離れる政五郎を見送る斬九郎と蔦吉。政五郎は「お二人で(自分が行く)小田原にお越し下さい」を二度繰り返して去って行きました。

小田原に行っても良いかなみたいな斬九郎に対し、蔦吉は「どうしてお前さんと2人で行かなくちゃならないんです?」 「ならないって事はねえけどさぁ。」 「まっぴらですよあたしゃ。」 「ふん、おいらもだよ」 てな具合になっちゃって、最後の「ちょいとお太りになったんじゃございません」で折角のチャンスがぱあになりました。《蔦吉ファン》としては意味が分かりません。本当に蔦吉は素直じゃないねぇ。